自立の気力
1988年10月25日の『朝日新聞』の「天声人語」に感動的な話しが紹介されていました。
それは米国人と結婚している日本人女性が語った夫君の母親(90歳)のことでした。
その一部を引用させていただきます。
「晩年の様子をきくと、最後の日まで、ボランティアの仕事をしていたという。
仕事といっても、かんたんなことだった。
老人の施設に毎日ゆき、2時間ないし3時間、車いすを押す仕事である。
足が不自由になった老人は、外の空気を吸い、バラの香りをかぎ、雲の美しさに見入ることができるように、語り合いながら、ゆっくり押す。
『できる手助けはしなくちゃ』
それにしても、自分はおしめをしている身である。
最期も、彼女らしかった。
体調が悪い、と感じると、電話をかけ『お願いします』と救急車を呼んだ。
もちろん、身のまわりはいつも整理されていた。
病院で平安のうちに息をひきとった。」
・・・ボランティア活動を「仕事」としている点が気にならないわけではないですが、足が不自由になっても車いすで外に出ようとする老人と、その老人とともにひと時を過ごす老人の、この共生の光景が自立への意欲なしには考えられないことが大切ではないかと思います。
・・・そして、その自立への意欲が人間らしく老いをまっとうしようとするライフ・スタイルの基本であることが分かるのです。