利用者側重視の行政へ
確かに施設に入所した老人たちに「独立の気力」を期待するのは無理がありすぎるともいえるでしょう。
しかし、体が不自由になった老人でも「自分にて自分の身を支配し他に依りすがる心なき」独立の気力を失わず、少しでも「一身独立」をつらぬこうとすることはできます。
老人たちを「人に依頼し、人を恐れ、人に談う」独立の気力なき者たらしめているものを、すべて福祉行政の責に帰せしめることはもとよりできないでしょう。
本人の生き方、家族・身内のあり方も考えなければなりません。
しかし、もし福祉行政の現場が老人たちから「独立の気力」をそいでいるならば、それを改革することがまず先決です。
自立への意欲を示す老人たちを「わがまま」扱いするのは施設とサービスを供給する側の都合であって、それを利用する側の立場を尊重してはいないでしょう。
「収容」は「入所」に変わりました。
次は「措置」を「利用」に変えなければならないでしょう。
これは、供給者側重視の行政から利用者側重視の行政へと質的転換をはかっていくことにほかならないのです。