むかしの話
これは屋久島ツアーなどで人気の屋久島の民話、「釜たき娘」です。
むかし、むかし。
ある人里はなれた一軒の百姓家に、娘が三人いました。
カカは早くなくなって、トトと娘たちばかりでした。
ある日のこと。トトは山にたきもん拾いに行きました。
たきもんをどっさり背中のカライコにくくりつけて、よいしょと起きあがろうとしましたが、重くてなかなか起きあがれません。
そのとき、トトはなにげなく、ふと、
「だれかわしを起してくれる人はおらんものかなあ。もし起してくるれば、わしは三人の娘を持っているか
ら一人はあぐっとになあ」
といいました。
ところが、どこからともなく、色の黒い妙なものが現われて、トトを起してくれました。
そしてその黒いものは、トトのあとをずっとつけてきました。
「娘、今じゃったよ。」
こういってトトはたきもんをおろしました。すると黒いものが、
「トト、おまや、三人の娘のうち一人はくれるというたが、はよ一人くれ」
といいました。
トトは「しまった、あんなことをいってしまって」と思いましたが、もうとり返しはつきません。
そこで娘を一人一人呼んでわけを話して聞いてみることにしました。
一番上の姉を呼びました。
ところが、ぜったいにそんなものの嫁なんかに行かない、といいます。
二番めの娘も、あんなもののところに嫁に行くくらいなら死んでしまう、といいはります。
一番下の娘に相談したところが、
「父っちゃあがそげん困ってあられるなら、あたいが行くから」
といってくれました。