人権問題
サウジアラビアにおいては前近代的なイスラーム法に基づく人権侵害が数多く報告されており、国際社会からの批判を浴びている。これはサウジアラビアでは宗教が法律と融合しイスラム教を擁護する法としてのイスラム法が規定され、それに基づいて行政が執行されているためである。このため近年は欧米諸国からのみならず他のアラブ諸国からも人権擁護の声が寄せられる。
そもそも、サウジアラビアには人権という概念そのものが存在しない。サウジアラビアには憲法が無く、憲法の代わりとなるクルアーンについても、ワッハーブ派の解釈によれば、クルアーンは人間が意思の自由を持ち得るとの主張は異端であると定義しているため、法律の根幹において人権が完全に否定されている。ワッハーブ派の教義自体がコモン・ローや大陸法の理論とは根幹から異なるがために、人権侵害どころか人権という概念そのものを憲法が否定している状態となっている。 基本統治法には「第26条 人間の権利 王国はイスラム法にのっとり人間の権利を保護するものとする」と明文化されているが、ここに定める人間の権利とはイスラム法における権利であって西洋における人権とは異なる概念である。
具体例として、女性や同性愛者などの性的自由の著しい抑圧、人体の切断や公開の斬首刑などの残虐な刑罰、イスラム教ワッハーブ派以外のすべての信仰を「邪教」と断じ、禁止していたが、基本統治法以降は建前上は存在を認めるようになった。しかし、存在を認めただけで差別は合法的に存続している。 また、雇用主による外国人就労者に対するパスポートの取り上げ(スポンサー制度)も横行しており、国際労働機関(ILO)から再三に渡り改善勧告を受けている。